レジリエンス経営理論

従来型の事業計画は、将来の事業機会に対して期待できる売上、利益を積み上げて算出する方法が一般的で、右肩上がりを前提としていたました。ただし、将来を見定めることが難しい、不確実性な時代において、予期できない動きを活かす逆説的な発想が求められます。以下に、レジリエンス経営に必要な理論を一部、ご紹介させていただきます。


■ リアル・オプション

将来起こる事象が、アップサイド(チャンス)、ダウンサイド(ピンチ)、アップサイド&ダウン(チャンス&ピンチ)とどの方向に進むか分からない時点で、スモールスタートしながらマーケットに参加することで、マーケティング活動(学習)を行いながら、トレンドの潮目を検知、さらに、潮目を判断したのちに、準備していたシナリオを実行します。言い換えれば、不確実性の高い状況を活かして、機会を最大化させつつ、リスクを抑えるモデルです。

  1. アップサイド:コールオプション
  • 機会獲得
  • 機会取り込み
  • 機会増大
  • 機会放棄

2.  ダウンサイド:損切り、現状維持

  • リスク回避
  • リスク移転
  • リスク低減
  • リスク保有

3. アップサイド&ダウン:判断不能な乱気流

A graph with blue arrows

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■ ディスカバリー・ドリブン・プランニング(仮設指向計画法)

「前提自体が不確実であるならば、仮説が外れるのは必然」との考え方から、「常に仮説は検証する必要がある」との立場を取ります。

仮説を検証しながらマーケットにおける発見、学習することで、仮説をさらに精緻化することが期待できます。

ディスカバリー・ドリブン・プランニング(DDP)には、大きく分かれて、2つの方法があります。

  1. 逆損益計算

 期待する利益を生み出す方程式を因数分解することで、プラス(売上)とマイナス(支出)に分けます。さらに、プラスとマイナスにおけるバッファ(幅)を設定します。

A blue lines on a black background

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2. マイルストン計画法

DDPの「前提はあくまでも前提」という原則から、逆損益計算法から導き出された仮説も外れることを前提とします。すなわち、仮説を立案するだけではなく、マイルストン計画法では、「仮説検証に重点を置く」ことで、マーケットの潮目を学習しながら、調整、もしくは、別仮説への切り替えを行う方法です。マイルストンは、検証するタイミングで、仮説の主要項目(イベント)において、検証するタイミングを設定しておきます。

A screenshot of a computer

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■ トレード・オン(相対主義

対立する事項を二者択一するのではなく、二律背反している事項の共通目的を見出し、解決策、最適解を見出すのに有効です。

両利き経営、外的環境と内部環境の整合、新戦略/イノベーション、リスク検知、ステークホルダー共感、ブランディングに必要なスキルの源泉になります。

ザ・ゴールの著者である、エリヤフ・ゴールドラットにも出てくる思考ツール、「クラウド」の考え方と非常に似ています。

A black and yellow rectangle with black text

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■ フォーキャスティング&バックキャスティング・モデ

目の前にある問題を解決して前に進むのが、フォーキャスティング・モデル、未来から逆算して、今、何するのかを定めるのが、バックキャスティング・モデルのポイントです。

もう少し細かいポイントとしては、バックキャスティング・モデルは、未来におけるあるべき姿を導き出すために、現在の制約はそのままにしておくことです。現存している制約を取り除いた場合は、そのまま、フォーキャスティング・モデルになるので、制約はそのまま受け入れ、あるべき未来を仮定していきます。

  • フォーキャスティング:現在→未来
  • バックキャスティング:現在←未来

■ レジリエンス・バンドル(帯域

マーケティング活動に代表されるように、自社、顧客、競合、マーケットとの関係性のみではなく、将来のイノベーションを生みだすためには、既存業界の枠組みを超えた掛け合わせが必要です。帯域を広く探索し続けることは、既存の競合環境からの脱却へ備えていくことに通じますので、積極的に内部環境の資源配分を図り、イノベーションを創発します。A group of colored lines

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